音楽のへやmuoomの声楽講師である森裕加里先生から絶対音感についてお聞きしました。
みなさん、絶対音感というとどんなイメージをお持ちでしょうか?
・耳がすごく良い!
・なんでもドレミに聞こえる
・音が全部音符で聴こえてくるなど、、、
なんとなく、知っている方や絶対音感という言葉だけは聞いたことがあるというかたもいるでしょう。
今回お話することは皆さんが知っている絶対音感とは違うかもしれません。
一般的に知られている絶対音感とは、音楽を勉強されている方はほとんど持っています。
これを相対音感といいます。
耳コピが得意な方もそうですね!
でもこれは絶対音感ではなく、相対音感が優れているということです。
では、どうしたら絶対音感になれるかというと、小さい頃に身に着けるのが良いとされています。
特に3歳前後が音感が育つ時期です。
耳は年齢と共にどんどん衰えて行きますので小さいうちに音感を付けることで絶対音感を身に着けることができるとされています。
現在ではリトミックなど、赤ちゃんのうちから音楽を聞かせたり触れ合わせることで自然と音感をつけるというレッスンが多くあります。
さて、本日は絶対音感のおはなしです。
それではここから詳しく聞いていきましょう。
先程、少し説明したように絶対音感というのは、ただ耳が良い。
どんな音でもドレミのように音符で聴こえてくるというものではありません。
これは先程説明した通り相対音感ということになりますね。
絶対音感とは、どんな音が音符で聴こえてくるのはもちろんのことヘルツ数の聞き分けが出来るということなのです。
そのため、ピッチがあっていないと不快に感じたり、気分が悪くなったり、時には吐き気に襲われたりするのです。
このように絶対音感とは、特殊な能力ですので音楽家なら誰でも絶対音感があるということではありません。
音楽家には絶対音感は持っていないが、相対音感はあるという方がほとんどなのです。
絶対音感持ちの歌手達は幼少期からバリバリ音楽教育を受け、ヘルツ数が変わるだけで気持ちが悪いという状態の人もいますが、歌手の絶対音感持ちの人に関しては、「正直、絶対音感がない方が幸せだった」という方が多いです。
相対音感の私から見ると、絶対音感というのは、天才の象徴!という感じがして
(実際には、【天才】なのではなく幼少期からの教育によるものなので、【ご両親の努力の賜物】です)
羨ましい限りなのですが、自分の筋肉を楽器として使う声楽に関しては、
頭ではこの音は正確ではない、とわかっていても、どうしても筋肉で作業をする関係上、(もしくは発声の都合上)どうしても少し低いピッチから入らなければならなかったり、どうしても少し高いピッチで音を取ってしまう、ということも出てきます。
その時に、自分の音が正確じゃないことを嫌と言うほど体で感じながら
それでもその音を出す!
という、
頭と体がバラバラの状態に置かれるとてつもない試練を与えられながら歌っているのです。
日本では基本的にご家庭のアップライトのピアノなども、442ヘルツで調律されていることが多いですが、イタリアでは440ヘルツ で調律してあることも少なくありません。
イタリアに行ってピアノを弾くと、なんとなく暗い感じがすると思われた方は、きっとヘルツ数の違いを敏感に感じとっていらっしゃることでしょう。
そしてヘルツ数まで感じ取れる絶対音感の方は、留学しても(ご想像頂けると思いますが)とても大変な試練にさらされることになります。
余談になりますが、オーストリアのウィーンやドイツなどは443ヘルツに調律されていることが多いです。
またバイオリンなどの弦楽器については、調弦を高めにとる習慣もあります。
アメリカでは、440ヘルツが主流でギターなどはほとんどが440ヘルツに合わせます。
このように国によっても違いがあるのです。
日本では電子ピアノを使っているご家庭も多くいると思いますが、現在の電子ピアノはヘルツ数を変えられるものも多くなっています。
それはこういう背景があるからなのかもしれませんね。
声楽家には元々楽器志望だったけれど、声がものすごくいいので、途中から声楽に転向した!という方も、歌手達の中にはたくさんいらっしゃいます。
絶対音感と聞くと、
「なんだかかっこいい!是非、子供に身につけさせたい!」
と思われる方も多いかもしれませんが、メリット、デメリットも考慮した上で、お子さんに教育なさるといいかもしれませんね。