上手になるための演奏に必要なこととは?

今回は音楽のへやmuoomのピアノ講師である浅井直子先生から演奏に必要なことということでお話いただきました。

浅井先生がレッスンをする上で心がけていること、練習するときのポイントなどをわかりやすく説明してくれています。
浅井先生のオンラインレッスンはとても人気です。レッスンを受けた生徒様から「とても楽しいレッスンだった」「またオンラインレッスンを受けたい!」との声をいただいています。

浅井先生が教える「演奏に必要なこと」是非お読みください。

拍子を感じる

拍子には何種類もあります。

わかりやすいところでは2拍子、3拍子、4拍子、6拍子。その他5拍子、7拍子、9拍子、12拍子等、作曲家の感性によるものや時代によるものもありますが、その曲がその拍子である限り無視して演奏すれば、それはもうその曲ではなくなります。

長年、ピアノ音楽教室を開催しており、レッスンで生徒様の様子を見ていつも感じますのは、皆さん3拍子が苦手。『1・2・3』の次に、「うん」と言って1拍お休みしてしまいます。難しいと感じる曲では、その方が次を弾きやすいのは理解できなくもありませんが、それでは4拍子になりますね。そして違う曲の出来上がりとなります。

体をつかって拍子を感じる

私は、そこで先ずは身体で感じて欲しいので、立って手で大きな三角形を描いてもらいます。上から左下→右→上に繋げて、「1・2・3」と言いながら私の演奏に合わせて指揮者になりきってもらう方法、これを1段階目としています。

2段階目は、頭・肩・お腹の順で演奏に合わせる。3段階目はお子様がとても楽しく取り組んでくれますので、私も楽しく、いつも二人で笑いながらのレッスンとなる方法をご紹介します。

①ジャンプ
②着地
③座る

これを繰り返します。
最初の①ジャンプは、その前に「1・2・3」の掛け声の後始めないと、いきなりジャンプから始めるのは意味がありません。3拍目を感じてから次の1拍目を感じることが大切なのです。何回も繰り返すといくら元気なお子様でも、「つかれた~」と言いつつ、また笑いながら取り組む様子が微笑ましく、楽しくこれらの身体で感じるレッスンをした後の演奏は、その前とは雲泥の差が出るのでお家でも是非お勧めします。

ピアノで曲の始まりをいきなり弾くと、自身にも聴く人にも拍子感がわからない曖昧さが出ますので、その曲の拍子を身体に流すことは重要視しなければいけないことです。

強弱だけじゃない!?

単に「強弱」といいますと、強く・弱くですが、演奏の中での強弱には、数え切れないほどの種類があります。

例えば「強く」の言葉のイメージはどういうものがありますでしょうか。飛行場での飛行機の離発着の音、新幹線が通り過ぎる音、トラックや救急車が行き過ぎる音、工場の機械の音、象や大型犬の鳴き声、上げたらきりがありません。それと同じで演奏の中でも、フォルテをどんな風に強くするのか?逆にピアノはどんな風に弱いのか?を考える必要があると言える。

ピアノのはじまりはチェンバロ

それにはその作曲家の時代のピアノがどんなピアノだったか?も考慮に入れるべきでもあるのです。今の時代のピアノは、鍵盤を叩くとその中に張られている弦に、ハンマーがアタックして音が出て、それによって弦が響きます。しかし16世紀のバロック時代にはピアノはなく、チェンバロという鍵盤楽器が使用されており、これらの楽器は今の時代のピアノとは異なり、弦をひっかいて音が出る仕組みとなっていました。

ひっかいて音を出す楽器の例として、アコースティックギター・ハープ・琴の演奏を聴きますと、大音量とはかけ離れていることは周知の通り。それと同様にバロック時代の鍵盤楽器も、今の時代のピアノのように響かず、強弱も殆どつけられない仕組みになっています。バッハの曲を演奏するにあたり、楽譜を見ると強弱記号が書かれているものもありますが、実際原曲には書いていなかったのは、鍵盤楽器自体強弱をつけられなかったからでした。

強弱の色々

では強弱の色々についての話に戻ります。

現代のピアノでは多彩な音色を出せる。先ずはそれを知ること。これは恐らく教えてもらってわかること。特にお小さいお子様が「う~ん、こんな風に弾くとこんな音が出るんだ」なんてこと、普通はありません。余程持って生まれた才能がある人ぐらいのことでしょう。

先生と呼ばれる方々のお手本演奏を聴いたり、CD・YouTube等を通して知った演奏家の演奏を聴いたり、コンサートへ足を運び生演奏を聴いたり、目で確かめ、耳で覚えた音を再現することによって新しく発見すること、それから可能性が広がるのは間違いありません。ピアノの強弱の変化をつけるにはどうすれば良いのか。

タッチを変える

タッチとはその名の通り「触る」ということで、それを変えるとどんな風に音色が変わるのかを、わかりやすい言葉で表してみます。

① 指の腹でのタッチは、柔らかくて温かい音色

② 指を鍵盤に対して直角に立ててのタッチはクリアな音色。

どちらのタッチを使うにも、手の第三関節がしっかり山型を作れていることを前提とし、第三関節を山型にする方法は又別のお話になりますので、ここでは省かせて頂きます。

①のパターンは、単に指を伸ばすだけでなく手首を上にあげる動きも同時に行うことで、より柔らかく上に抜ける音を出せるので、メロディを歌わせる時には欠かせないタッチとなる。

②のパターンは、速いパッセージを弾くときには指を伸ばしていては難しく、一音一音をくっきりした音にするため、指を立てる形にする。

対照的な例をあげましたがタッチは決してこの2種類だけではなく、無限にあると考えられます。腕の使い方も重要で、深く響かせたい時には腕の重みにも助けてもらいつつ、肘を横に広げて力を抜く。そうすると力まずにホールの一番後ろにまで届く音が出せるというのは、経験のある人にはわかること。これらはやはり教わらないとわからないので、私はどんなにお小さいお子様にでも、初めの一歩からお伝えしております。

 

言葉を話すように奏でる

私が子どもの頃に、指が立っていないと先生に叱られましたが、立てるだけの奏法では表情豊かな音色にはならないことを、音楽大学を目指すという時点でその道の先生に師事した時に教えていただき、それまで自身がやってきたことの意味に不信感と絶望感を抱き、非常に悩みましたので、私の教室の門をたたいて来てくれた生徒様にはそんな思いをさせたくなくて、『楽しみながら積み重ねる』そして『言葉を話すように演奏する』、そんな人になれるようなレッスンを心掛けております。

『言葉を話すように弾いてね』

これはレッスン時には本当によく使います。そうすると生徒様の演奏はそれまでと違うものに変わることが多く、拍子感・強弱・タッチに敏感になり、話すときには笑顔の時も怒った顔の時もあるように、表情豊かな音色を目指して弾こうと試みてくれるので、そんな姿を見るたび、指導者の働き掛けは、生徒様側の人生にも関わる重い責任があると感じずにはいられません。

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